はら・かおり 作陶展 ── Labyrinth(迷宮) ──
□2019/06/03(月)~06/08(土)
11:00AM~7:00PM(最終日は5:00PMまで)
Labyrinth(迷宮)
路地裏、目の前を猫が横切る。何処に行くのかと追った次の瞬間、猫の姿はない。
暗闇の中を黒猫が案内する迷宮の入口。
人も動物も風景も皆同じようにあるのに、時間と空間が歪んで、混在している。
ここでは、自分が誰で、何処で、何時かを知る術がない。関わりも義務も問われる事はない。
白猫は迷宮の出口へと導く。
猫に導かれ行き来するうちに、私はもっと深い迷宮に沈んでいく。
猫の作品を中心にオブジェ、プランター、花器等を発表している陶芸家【はら・かおり】さんが
時間と空間に思いを巡らせて作陶した個展です。
2004年の個展「風にふかれて」で倫理的・宗教的な森を散策した原さんは「ふわり」(2005年)、「ぽっかり」(2006年)で抽象化された立体に遊び、2007年と2008年は一転して猫という身近にありながら神秘的で芸術的な生き物をテーマに制作しました。
2009年は~赤坂・猫の森カフェ~で、テーマは同じ猫ながら一転してユーモアとウイットあふれる楽しい世界を展開し、2010年の「優しい時間」では、小春日和のように温かな、ネコと人の日常を陶土で表現してくれました。
また、2011年の「鎮守の森」では~自然の中で、人も動物も同じように生かされ守られている
~そんな安心で楽しい世界を陶人形で描きました。そして東日本大震災後の2012年の個展「Life vol.1」では本当の豊かな時間とは何なのかを問いかけました。
アートとクラフトの両面から現代陶芸のあり方を見つめる原さんの面目躍如というところですね。
2013年の『野良猫公園』、2014年の『猫が棲む』、2015年の『何処へ』を経て、2016年は『猫展』。
2017年の『モノガタリ』では使い手それぞれが作品に対峙して、鑑賞者が自らの考えを物語るという試みを行いました。
2018年の『気配』ではどこの空間に、どんな時代に迷い込んだのかわからないような街の情景を造形した作品群を展開。そのどこか哀愁を帯びたような独特の世界は不思議な憧れとノスタルジアを喚起してくれます。
ふと懐旧の思いにとらわれるような心象的な作品となっていました。
2019年の個展『Labyrinth(迷宮)』では2018年の『気配』の作品を更に展開し、進化(深化)する内容となりました。
はら・かおりさんの人と作品 は以前の記事ですが、店主サイト【"モノもの"応援帳】にて詳しくご紹介中。どうぞのぞいてみてください。